肌寒い朝、昼前から雨が降り出し、日付けが変わろうとする今も止まない。
ここ日本では、農業といえば誰もが田植えを思い浮かべる。ただ農家といえば田んぼを作る人。そうでなければ園芸農家とか果樹農家とか、分派扱いされる。たぶん。NO家の俺ですら就NO初年から田んぼに足を踏み入れた。それも田んぼの中の田んぼ、姨捨の棚田。初心者向けに、田植えするばかりにお膳立てされた十坪くらいの小さい田んぼはしかし、田植えした後の草取りを怠けて管理人から出禁を喰らい、米はひと粒も手に入らなかった。姨捨を世話してくれた人が憐れんで、翌年、隣村のやはり十坪くらいの田んぼを貸してくれたが、真夏の真昼以外は日陰で水も冷たく、いもちで壊滅状態だった。隣村の別の農家がそれを憐れんで、こちらに気を使わせないようにか、鶏の餌にしようおもてたんやけど、と言って古々米をくれた。暗く湿気った倉庫から引っ張り出した籾はカビ臭く、精米しても少し匂いが残った。都会にいたら多分捨てていたに違いない米を我が家では毎日、臥薪嘗胆、ガシンショウタンと唱えながら噛みしめ、来年は必ず米を穫る、と誓ったのであった。













