突然、秋

朝、玄関の引き戸を開けるとひんやりと涼しい。涼しいというのは低温の肯定表現だから、実感でいうと寒い。寒いのだけど、数日前まで暑かったので寒いわけないと言いたい気分が涼しい、を選ばせる。

そろそろ本気で薪割りしないといけない。ほんとは春先から隙を見てコツコツパッカンパッカンやっておかないといけない。こりゃ間に合わねーな。

相変わらず本降りの雨はない。キノコも全く出ない。稲刈りの数日後、夜間にいつもより長めの雨が降ったので裏山に入ってみた。しっとり濡れた落ち葉をめくったらすぐ下はサラサラに乾いていた。

ニンジン畑に連日水を運ぶという稀有な経験もした。旱魃に耐えてこの頃やっと展開してきた貴重な葉っぱを食べるアゲハの子どもたち。手の上でウンコ。

ヨトウムシなどは即殺するのに内なるレイシズムやらルッキズムが駆動されてこいつらは奥山放虫。はらぺこあおむしは何でも食べるが、通常、アオムシは孵化したとき最初に食べた草以外は食べないそうだ。山の中でニンジン見つけられるといいね! (ねーよ)

2023年の稲刈り

昨日、9月18日、稲刈りが無事済んだ。いつもより1週間程早い。ウサギの食害対策で落水前日まで深水にしていたのと、セレブなお宅の絨毯のように生い茂った田の草のおかげでなかなか水が抜けなくて焦った。水路にも田んぼにもアカハライモリなどがうようよいて強引な作業を許さない。

水が抜けかけた水路に、黄色い胴体に脇毛を生やしたような見慣れないトンボが孤立出産(産卵)する。ツガイの産卵ではない。一回り小さいシオカラトンボが上からのしかかるように邪魔をするが、せいぜいトンボにたかられた(実話)程度にしか感じないらしく、相手にもせず悠々と産み終えて飛び去った。こうして外来種が増えてゆくのだろう。落水から10日あまりで何とか潜らずに歩ける程度になった。環境大改変。生き物のみなにはさだめて迷惑な事であったろうと、昭和天皇並みに反省申し上げた。してないってことか。いや、俺はしてるけど。

バインダーで刈り取っているときは、手応え上々だった。やっぱり暑いとこの植物なんだよな、猛暑上等! とか9月も半ば過ぎだってのに30℃超えの異常な暑さに汗ダラダラで豊作の予感に頭クラクラ、ハゼに掛けてみると例年とほぼ同じ収量が予想されるのでありました。

庭の片隅に、雑草に埋もれて彼岸花が咲いていた。ツルゲーネフの田舎の貴婦人みたいに。

今年は旱魃

雨が、何としても降らない。7月の梅雨明けから、土砂降りは3回くらい、あとはシャツが濡れてもすぐ乾く程度が数回。毎日カミナリはゴロゴロ聞こえるし、山のあなたの空近く入道雲はニョキニョキのびるが周縁の山を越えない。まるで結界が張られているように迂回して消えてしまう。

暑くてオレも死ぬ。虫除けに焚き火のオキ混じりの灰の上で寝る。

8月頭に葉物野菜の種を播いて育苗していたが、暑さと畑の乾き過ぎで定植の好機を逃し続け。この数日、仕方なくジョロで潅水しながら植え付ける。毎日カンカン照りで暑くてしおれる。直播したビートはほぼ消えた。

右白菜野崎早生、左キャベツフィルダークラウト。キャベツは拳より大きくなった例がない。ピンボケだが、心象風景をよく映し出している。

簡単な柵で囲ってあるこの畑、今年初めてトマトに囓られ害が出ている。柵から伸び出したかぼちゃの葉っぱも食われた。獣が増えた、という声をよく聞くが、田畑に山に立ち働いて獣を遠ざけていたNO民が減ったのである。山際の農地はまっ先に耕作不適とされて。獣たちは物理法則に従うかのように振る舞っているにすぎない。押さば引け、引かば押せ。