坂井の苗代とウドについて

2016年4月30日(土) 0.5/10.5℃

4/29

朝から坂井地区のたきちゃん自然農園にて苗代作業。こちらで3畝弱の田んぼを借りてもち米を作る。滝ちゃんはコシヒカリを5畝くらい、苗代を区切って一緒に育苗する。滝ちゃんは数年前からビニールシートを使わない、一昔前「以前」の苗代を試している。工業製品を使わない、という思想なのか、基本的に一人で作業していたからシート張りが面倒くさかった―風の強い季節に薄くて幅の広い穴あきシートを一人で張るのは至難の業だ―のか、理由はいろいろありそうだ。寒さが厳しい時は水を張って保温する。それで水苗代、という。

苗代作りの前半、粗代掻きまでは先週、内山さんがやってくれた。トラクターは早い。トラクターへの物欲を抑えるために、何故ゴルジNO場は機械化しないのか、について思想的な理由をあれこれ考え続けなければならなかった。

後半の作業は一昨日27日と今日29日。

27日、床作り。
まずは裏山で山土採取。肥料袋に軽く5つ。必要量と言うよりも、ネコ車で一回に山道を運べる量。本当は7袋要るらしいが、時間、体力を勘案して妥協する。
粗代掻きから一週間、泥が落ち着いたところに踏み代の溝を作る。泥を播種床と畦肩にあげていく。すごい泥田になっていてなかなか歩けない。休憩中に滝ちゃんが泥を掬って親指と人差し指で試しながら、「これは、、、」とネガティブにつぶやく。練りすぎたの?と訊くと、そうそう、と答える。数日前に仕上げの代掻きを自分でやったらしい。この頃心配性の滝ちゃん、やりすぎたようだ。機械の落とし穴はこの点、「作業上の必要」を「機械の能力」が上回った場合、しばしば「機械の能力」に合わせて仕事がなされる事にある。とりあえず、ぐるりと溝を付け、エブリでざっと均して切り上げる。

29日。
全体に播き床の幅が一間以上あって広すぎるようだが、シートを掛けないし、途中で草取りもしない予定なので良しとする。うちのはミヤギコガネ糯と今年のお試し、黒糯「朝紫」。境界は多少混ざっても仕方ないとして特に区切りを付けずに隣に播く。もちろん、滝ちゃんのコシヒカリとの境界はキッチリ作った。当今、キッチリとかキチンと、とかいう言葉は、政治家の答弁のお蔭ですっかり軽くなったが。

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播いた籾を鍬の背で軽く鎮圧。山土と燻炭を掛けて終了。朝、直売所「まんだらの庄」(下の画像、中央上部の丸で囲った建物)で「今夜は霜が来るから採れるものは今のうちにみんな採って出荷しな」と言われていたので、低温障害が若干気になったが、植物の生命力を信じて発芽を待つことにする。

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夕方、冷え込んで来ると、直売所のお姉さんの助言と、この間の遅霜でウドが萎れてしまったのを思い出し、食べられそうなところを全部採った。出荷に間に合う時間ではなかったから全部うちで食べる事にした。晩御飯はきんぴら、味噌炒め、酢味噌和えのウドづくし。一人三本分は食べた。

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4/30

一夜明けて、やっぱり霜が降りていた。が、新芽が凍みてしまうほどの冷え込みはなかったようだ。今日は一日畑の草刈り。

昼ご飯はウドカレー、晩御飯はウドパスタ。意外と食べ飽きないものだ。

 

苗代失敗の危機

2016年4月28日(木)雨 10℃(18:00)

予想以上の大雨で苗代冠水。

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こういう場合に備えて排水溝を作っておいたが、流れ込む水量が多すぎて役に立たなかった。畦からの越水は防げたのだと思ってあきらめよう。籾が浮いてしまうことは無いと希望している。水が引かないと影響も判らない。

ちょっと見に行けばよかった。面倒くさいと思った時が逢魔が時。

苗代2016

2016年4月20日(水)晴れ 0.5/21.9℃

田んぼ仕事が動き出した。今日は播種。

苗床は毎年、うまく作れない。泥をかき混ぜすぎると水分が抜けた時にバリバリにひび割れしてしまうので、なるべくあっさり仕上げるよう心掛けた。粗起こしはごく浅く。

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が、なかなか均平が取れずにこってり練ってしまった。一度コロイド(ゲル)状にまとまった泥は鍬の背でこすっても形が変わらない。やや床面が高いが、妥協する。

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すじ播きも今年こそは薄く。と思いつつ、去年の半分ヒエ状態が頭をよぎってつい、籾を播く手が余計に動く。それでも、強迫的な播き増しはしないですんだ。妥協は生活者の知恵だ。下の転作田に青く見えているのは麦。列によって育ち方が全く違う。どういうことなのか説明してもらいたい。

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夕方、ナメコの駒打ち、コナラとケヤキ半分づつ。これでおよそ1500駒打ち終わった。まだ椎茸とクリタケが1500駒ある。急傾斜の裏山から原木を伐り出すのが大消耗だが、この頃採れる椎茸のうまさに励まされて何とか頑張っている。

ナス科の苗箱、トマト、ナスは半分くらい出た。ピーマン、唐辛子は一本づつ。トマトフルーツピーマンは全く出ない。ナスは種採りしたものよりも、一昨年買った種の方がよく出ている。今後の育ち方を注視していこう。

夜はまだまだ寒い。

お勤めも楽しい仕事も

2016年4月15日(金) 4/18℃

朝、安全協会の「春の交通安全運動」で、麻績インター前の啓発活動に駆り出される。集合場所の役場にはインター前を通らなければならないのだが、遅刻していったので、係りのみなさんが旗を持ってずらりと並んでいるところを図々しく横切って行った。うむ、気持ちがよい、と思うほどの胆力は無い。

村の中心部の国道、インター前とは言え、交通量は少ない。俺も旗を持たされて沿道に馬鹿みたいに突っ立つ。安協の仕事がバカみたい、という意味ではない。いや、全然そういう意味じゃないこともないが。信号待ちの車に「女性部」のおばちゃんがチラシみたいなものを配る。パトカーがいるせいかみんな協力的に受け取っていくが、中には行儀の悪いドライバーもいて、おばちゃんの手が窓から引っ込む前に動き出して、おばちゃん交通事故の危機に陥ったりしている。安全運動の為に出てくる車が10台近くあり、もともと人の少ない村では、それは交通量を1割ほど押し上げることになる。本末転倒な感じがしないでもない。というか、かえって事故が増えるだろ!

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今年も踏み込み温床が暖かくならない。ナス科の苗箱、トマトだけ5本ほど出てきた。ナス、ピーマンに合わせて保温すると、トマトにはちょっと暑いかもしれない。来年は分けよう。

うるちの種籾芽出し、3日目で出揃わないが、発根したのもあるので播種まで冷蔵保存に切り替える。播種予定は20日。
モチは先週浸水のみで発芽してしまった。こっちは滝沢農園の田んぼを借りて作るから播種が27日予定。だいぶ間があるが冷蔵で1カ月は大丈夫らしい。播種前に種を冷蔵するやり方は、かつてはヤロビゼーション(春化処理)といって、特に南信の一地域で秋播き小麦を春に播く際に試みられ、大きな成果を上げた、という記録がある。ソ連のミチューリン農法だったか。

今日は遅れていたキノコの駒打ちをやっと、夕方に始める。自然観察の達人、猟師のりょうちゃん(なんて呼んでは失礼だが本名を知らない)によれば、駒打ちは桜が咲くまでにやれば間に合うらしい。この辺の桜は連休ごろだからのんびりしていたら、ちょっと下界の方ではもうあちこちで満開になっている。焦るぜ。

原木は「田んぼ」に生えていたヤナギ。まだ数本残っているので今秋も伐れる。種駒の箱を開けて説明書を読むと、伐倒後1~2カ月で駒打ち、とある。もう3カ月は経っている。まあ、誤差の範囲としておこう。説明書くらい、購入後すぐに確かめておくべきだろうが。

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なにかやろうとすると、おっとその前にあれを準備しなくちゃ、あれをやるにはこいつを片付けておかなくちゃ、と、作業がどんどん前提を遡って本来の目的になかなか辿り着かない。遡り切ろうとすると、まず家を建て替えなくてはならない(おっとその前に山の木を伐り出さなくちゃ!)ので、適当なところで妥協している。

今日はヒラタケ400駒打ったところで日が暮れた。

 

燻炭と種蒔き始め

2016年4月2日(土)晴れ 3.5/21℃

4/1・籾殻燻炭作り

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例年、自動燻炭製造器(?)をかぶせる前の焚火がおとなしすぎて、出来上がりに大変時間が掛かっているので、今年は大きめに燃やしてみた。このところ中信地方に延焼火災をもたらしているらしい春の強風にあおられてどんどん燃える。

籾殻を投入した後の燃え方も激しい。通常、籾殻投入後数分で青く透き通ってくる煙が、いつまでも白く豊かに立ち上り続ける。煙突際がすぐに真っ黒焦げになってしまう。

1時間くらいして少し掘ってみると、中心部は明らかに燃え過ぎだ。軽く切り返して五分焼けになり、もう少しだけ加熱しようと思い、待ち時間で薪割り斧の楔を作っていたらちょっと熱中して燻炭の焼き加減が頭から飛んでしまった。

もうもうと煙る白い煙に気付いてあわてて見に行くと、全体真っ黒、自動燻炭製造器を外したら、完全に焼き過ぎになっていた。こりゃ半分灰になっちまったとあきらめていたら、生き物係さんが生籾殻を持ってきて混ぜろと言う。そんな事言うなら自分で持ってきなよと何故かデカい態度にでる。俺個人の精神の調和の為に、二人の調和がちょっぴり犠牲になった。

追加した籾殻を余熱で焼いて、いいところで水をかけて消火する。消した心算が、しつこく燻り続ける。自動燻炭製造器を外す前に、煙突からジャンジャカ水を入れて中心の炭を完全に消化したらどうかと思う。いやどうかな。

今日はナス科の種蒔き。
ブラジルクックトマト、真黒ナス、小布施ナス、自生えピーマン、トマトフルーツピーマン、浪野ピーマン、鷹の爪。

デキる農家は3月頭に播いてハウス等で保温育苗するようだ。亀山郁夫のドストエフスキー新訳シリーズ、あげくは『新カラマーゾフの兄弟』にやられて夜更かしの毎日、今年もデキなかった。朝にやらなければいけない訳でもないから、これは言い訳だ。