2016年2月10日(水) 雪のち晴れ
2月は寒い。夜は氷点下10℃、昼でも曇りなら3,4℃の日が多い。それでも晴れれば7,8℃にはなり、日向の雪は融けつつあった。
が、昨日から朝まで降り続いた雪で、所々見え始めていた地面はまた一面真っ白。年明けから起床時間がだんだん遅くなり、この頃は7時半起き、重く湿った雪の上には既にキャタピラやタイヤの跡がある。大雪が降ると、除雪用ハイド板―ハイド板のハイドは「排土」かも知れない。生き物係さんは、前からみたとき車が隠れるから”hide”の意味だと言う。たぶん違う―を付けたジムニーやトラクターを持っている人達がボランティアで部落内の道を掻いてくれる。勤めに出ている村人は家を出るのが早くて、6時に出勤というのは全然珍しくない。雪掻きする人自身も出勤前、早朝5時前の一仕事。いや朝寝坊で申し訳ない。もっとも、開始は遅いが我々も雪ハネ一丁で延々200メートル以上の道を掻いて歩く。もっとも、主に我々が使う道だからそれは義務である。
湿雪は踏み跡が凍ってしまって地面が見えるほどは掻き切れないが、昼前から晴れたお蔭で、陽の当たる道の雪はあらかた溶けた。日陰は厚い所では5cmくらいの氷で、これはもう暖かくなるまでほっとくしかない。そういう道では―だいたい山道だから―長靴で立ってるだけでツルツル滑り降りることが出来る。面白いが内転筋が攣りそうになる。
雪掻きは本来単純な運動の繰り返しである。それで、疲労倦怠防止の為に、雪を放り投げるやり方を少しづつ変える。時には必要のないステップを踏んだり、坂道滑りなどの息抜き、獣の足跡調べもする。雪掻き仕事を楽しむには、労働効率を犠牲にしてもいい。効率なんて、大理石の男に任せておけ。
とは言え、若い頃に親しんだ追い込み型の運動の癖が抜けず、次第に動きがミニマルになって、最後はアデノシン三リン酸の生成が間に合わなくなるまでやらないと気が済まない。若い頃と違って気が済むまでの時間が短い。午後2時過ぎ、気が済んだらもう氷点下。何も仕事をする気にならないで、ハッと気が付いたらストーブの前で夕餉の、生き物係さんお得意のすいとんに箸を立てていた。幸せだなあ。
ここにみんなそろってたらなあ。