おかしな天気

一日雨。

ヤギが小屋で寝るようになった初冬から、一日中雨が降っていた日があったかどうか、記憶にない。雪は何度か降ったけど、本当に数えるほど。

3月のこの時期に雨というのも珍しいのじゃないかと思う。例年、カミ雪と呼ばれる重たい雪が降って、あちこちで折れた松の枝なんかが道を塞ぐ、そういう季節だ、本当なら。今年の冬は雪もほとんど積もらなかったから、春を告げる雪融けもない、、、。

だがこのおかしな天気も本当だ。日本中おかしなことになってるかい?世界中?おかしい、は変てこなばかりじゃなくて、とってもあぶない、の前触れかも知れないよ。

全然雨が降らなかったり、逆に笑っちゃうくらいやまなかったり(笑わないけど)する時、街にいれば気分がいいとか悪いとかその程度、洗濯機持ってなければコインランドリー代がかさむなあ、近所のコインランドリーには「飲食は禁止とさてせいただきます」って張り紙があって、何年もそのままだから書いた人も気づかず、わざわざ指摘する人もいないんだろう。もしかすると異化作用による視線の膠着を狙ったか。やるなおばちゃん。

おかしな天気が続いてるとき、畑や田んぼがどうなっているか、想像する人は少数派だろすくなくともこの国では。俺だってこの村に来るまでは気にしてなかった。雑司ヶ谷のアパートの実験農場に十分な水を撒くのは大した手間じゃなかったからな。たまにそれを見る大家さんの笑顔がひきつってたけど。家賃に水道料金込みだったから。

欲しいものがいっぱいありすぎて、食べなきゃ生きていけないってことを忘れてるんだよ。食べ物がどこで育ってるかなんて端から頭になくて。工場に突然あらわれて袋詰めされるわけじゃないよ食べ物は。LEDのライトあてて作った野菜なんか、飢え死にしたって食べないよ!ついでに言っておくけど。一部の(もはやほとんどの?)食用アミノ酸はすでに遺伝子組み換えした細菌から作ってて、それが味の元になってるんだからもはや狂ってるよ。多少は食べてるかも知らん。カミよ、カミ雪よ!

食べ物は、生き物だ。俺たちも、俺たちにとっての食べ物であるところの動物のいきものも、植物のいきものを食べて育つ。そして植物にはちょうどいいお日様と、雨がいる。

そのことに気付いたとき、おかしな天気が続くと本当に怖くなる。